世のため人のためのまじめな公務員は出世できない。
公務員は本当なら公僕すなわち国民のために犠牲になって働くべき存在のはずです。
役所に入った当初はそんな気持ちを多少なりとも抱いている人は多いと思います。
しかし入ってすぐその気持ちを捨てないと出世できないことに気づかされます。
省庁の一番の目標は国民の幸福ではなく、いかに多くの予算を獲得するか、だからです。
組織のトップはいかに組織を大きくするかを第一に考えます。
小さなことを大きく表現し、できるだけたくさんの予算を確保しようとするのです。
部下たちも頭をしぼってもっともらしい資料の作成に奔走します。
役人根性といえばそれまでですが、その気持ちが無いと出世できないのです。
役人の評価はいかに所属している組織を発展させるかだからです。
現在国の財政が厳しくなっています。
しかしそんなことを憂いている役人はいません。
自分の所属機関の発展、しいては自分の出世を第一に考えているのが実情です。
「国の財政が厳しいので予算要求は控えましょう。」
という意見は全く通りませんし、そんなことを主張し続けたら間違いなく出世の道は閉ざされます。
かつて明治維新を主導し、初期の明治政府の中心として活躍した大久保利通が暗殺されました。
そのとき彼には多額の借金が残されていたそうです。
この借金は自分のために使ったのではありません。
ひっ迫する国の財政と諸外国からの侵略を防ぐために、
急いでいた富国強兵政策のために私財を投じていたことが分かったのです。
大久保利通だけではありません。
西郷隆盛も全く私欲の無い人でした。
明治維新の目途が立つと、さっさと故郷である鹿児島に戻って百姓を始めました。
上野の西郷像を見ても分かるように自分は質素を貫いたのです。
今日本の政治家や役人にどれだけこのような清貧な心を持った人がいるでしょうか。
日本のため国民のためを第一に考えている公僕はいるのでしょうか。
自分の所属している組織のため、しいては自分の地位向上のためで、
国民のためは二の次になっているのではないでしょうか。
明治政府の高官の中にも西郷隆盛のような私欲の無い人は困ると思っていた人もいたようです。
自分たちの贅沢が批判の対象になりかねないからです。
今の政府行政機関の中にもこのような空気が感じられます。
まじめな人は煙たがられるのです。
組織より国民の利益を第一に考えられる人は結局はじき出されてしまいます。
賢い公務員はその矛盾を感じながら仕事をしており、
耐えられない人はやめていきます。
残念ながらそれが現状なのです。
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