遺伝子から見た日本人の正体
民族や人種を考える指標に使われる遺伝子には次の3つがあります。
1.人種の違いを知ることができるGm遺伝子
2.男性のルーツをたどれるY染色体
3.女性のルーツをたどれるミトコンドリアDNA
ではそれぞれの特徴について簡単に説明しましょう。
1.Gm(ガンマグロブミンマーカ)遺伝子
この遺伝子は血液の血清(血漿)中に存在する遺伝子です。
血液中にはこのほかにも数多くの遺伝情報がありますが、
松本秀雄氏の長年の研究によって、
この遺伝子は人種によって異なるため、
人種を特定するにはこの遺伝子以外にないと断定された遺伝子です。
この遺伝子は極めて安定していて、
ほとんど突然変異(塩基置換)を起こすことはありません。
2.Y染色体
細胞の核の中にはXとYの2対の染色体があります。
XとXの時は女性でXとYの時は男性になります。
Y染色体は父親から息子へ引き継がれ、
母親の遺伝子は関与しないことが分かっています。
Y染色体は突然変異(塩基置換)によって変化することがあります。
この変化によって男性のルーツをたどることができ、
アフリカの一人の男性(Y染色体アダム)に辿り着くことが分かっています。
3.ミトコンドリア(Mt)DNA
この遺伝子はY染色体とは逆に母親から娘に引き継がれ、
父親は関与しないことが分かっています。
この遺伝子は突然変異(塩基置換)を起しやすく、
Y染色体の5~10倍の確率で変化することが分かっています。
この変化によって女性のルーツをたどることができ、
アフリカの一人の女性(ミトコンドリアイブ)に辿り着くことが分かっています。
それではそれぞれの遺伝情報から日本人の正体に迫ってみましょう。
1.Gm遺伝子から分かること
日本人のGm遺伝子は北(アイヌ)から沖縄(琉球諸島)まで、
ほぼ均一です。
このことから日本人は元々は単一人種であることが分かります。
バイカル湖畔のブリヤート人が、
日本人と同じGm遺伝子を持っていることから、
日本人のルーツではないかと言われています。
Gm遺伝子で見る限り台湾と沖縄で全く異なっているため、
日本人の南方起源説は否定されるはずです。
2.Y染色体から分かること。
日本人のY染色体の特徴はD系統が存在することです。
D系統は縄文人の遺伝子と言われ、
アジアではチベットの一部とインド洋のアンダマン諸島にしか見られない、
数少ない遺伝子なのです。
この遺伝子から類推できるのは、
D系統は比較的古い遺伝子であることから、
元々は最初にアジアに到達した人類のもので、
その後突然変異で生まれた体格に優れたO系統に駆逐され、
日本と上記の地域にかろうじて生き残ったと考えられます。
O系統は日本では弥生系と言われ、
大陸から渡来人として渡ってきた人達です。
古代遺跡を見てみますと、
縄文時代は約1万年もあったのですがほとんど争った形跡がなく、
D系統が如何に平和的な遺伝子であるかが分かります。
O系統の入ってきた弥生時代から争いが増え、
その後の戦争の歴史は、
弥生系のO系統の遺伝子がもたらしたものだと考えられるのです。
O系統の比率は九州が最も多く沖縄や北海道は少ないことから、
弥生人は大陸から九州を通して日本に拡散したことを表しています。
3.ミトコンドリアDNAから分かること。
日本におけるミトコンドリアDNAの分布を見ますと、
韓国人と九州人はほとんど同じであることと、
東北より北と関東より西で大きく違っていることです。
これによって、
日本人は九州と北海道で大陸と陸続きだった頃、
二つのルートから侵入し、
関東と東北の境でぶつかったと考えられます。
初め書いたようにミトコンドリアDNAは突然変異を起こしやすいため、
ルートが異なったため違いが生じたと考えられます。
以上をまとめますと、
九州と北海道が陸続きだった頃、
大陸から日本列島に縄文人と呼ばれる人たちが住み着き、
その後かなり後になって大陸でY染色体が変化した弥生人が生まれて、
日本が大陸から切り離された後に九州に渡来人として渡ってきて、
日本全土に広がったということではないでしょうか。
従って現在の日本人は縄文人と弥生人の混血と言うことになります。
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