般若心経における空の意味
般若心経の中には空という言葉が数多くでてきます。
空とは何か。
空の意味を理解することがそのまま般若心経を理解することでもある、
文字通りキーワードでもあるのです。
色即是空
空即是色
最も有名なフレーズですが、意味は
色は空であり、同時に空は色である。
色とは目に見える物、すなわち世の中のあらゆる物質のことですが、
これらはすべて空だという訳です。
いろいろな解説書を見ると、
空とは(こだわる必要がないもの)とか(むなしいもの)とかいう解釈が多いようです。
そうすると、色即是空とはあらゆるものはこだわる必要のないむなしいものだ。
だから人は物を追い求めず、もっと心の大切さに目を向けなさい。
という解釈になるのです。
この解釈は誠に正しい解釈ですが、
理系出身の私は別の解釈をしてみました。
空はエネルギーのことではないかと考えたのです。
そう考えると、
色即是空とは物質はエネルギーからできている。
空即是色とはエネルギーが物質を構成している。
となって、現代物理学の根本原理を言い当てていることになります。
そう考えると後で出てくる不生不滅や不増不減は、
生じることもなければ増えることも減少することもない。
すなわち、エネルギー保存の法則を言い当てていることになります。
更に、不垢不浄は汚いとかきれいというようなものではないと言っているわけで、
汚物のような汚いものでもエネルギーのレベルで考えると汚いとかきれいとかいう概念は無くなることになります。
日本人で最初にノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士は、
般若心経が中間子発見のヒントになったそうです。
どのような解釈でそのような発見とつながったのか分かりませんが、
理系の見方をしていたことだけは確かだとおもいます。
私は般若心経を考えた人(お釈迦さま?)がもし空をエネルギーという概念で捉えていたとすると、恐るべきことだと思っています。
2000年以上前の人が、現在物理学の根本原理を言い当てていることになるからです。
私は般若心経に出会って人生観が変わった者の一人です。
人体もエネルギーからできているとなると、空気や宇宙との境界がなくなるからです。
人体は宇宙の一部で、エネルギーが集中している部分にすぎないと考えれば、
他人と自分を区別する意味も無くなりますし、
一切のこだわりをもつことも全く意味のないことだと分かります。
ただ、虚無思想になることだけは注意したいものです。
すべてがエネルギーでできているなら、
何をやっても意味の無いことだという思想につながる危険性があるからです。
せっかく生まれてきたのなら、充実した人生にしたいものです。
般若心経は名誉や地位やお金にこだらず、目に見えないはるかに大切な、
心に目を向けなさいと言っている教えなのです。
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