古代の文献を100%信用してはいけない理由
2024/07/22
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今仮に未知の古代国家の遺跡が発見されたとします。
発掘調査の結果、
支配者が記録したとされる古文書が見つかり、
解読の結果、
次のような内容が書かれていたとします。
「我が国は、非常に豊かで、国民は皆満足している。
これは我が国の統治が成功しているためである。」
発掘調査が進み、埋葬されたと思われる多くの人骨が発見され、
遺伝子解析の結果、
多くが栄養失調の状態であり、
中には明らかに虐殺されたと思われる人骨も見つかったとします。
さて皆さん、
この古文書は信用できますか?
常識的には、
実際は極めて国が疲弊しており、
多くの餓死者を出し、
それに不満を持つ一部の人が反抗したために、
支配者によって粛清されたのではないか。
と解釈されるはずです。
以上は極端な例えかもしれませんが、
時の権力者が都合の悪いことは記録せず、
都合のいいことだけを残すことは十分有りうるのではないでしょうか。
このように考えますと、
古代の文献は100%信用してはいけないことは確かです。
さて仮の話はこれくらいにして、
中国の文献について考えてみましょう。
日本で史実として扱われている魏志倭人伝についてですが、
魏志倭人伝には概略次のようなことが書かれています。
1.倭国で大乱が起こった。
2.邪馬台国の卑弥呼がこの大乱を収めた。
3.卑弥呼が中国に朝貢し、中国皇帝は金印を授けた。
金印(卑弥呼に贈られたものとは別)が福岡県の志賀島で見つかったため、
魏志倭人伝の記述は史実だと認定されたのです。
金印が発見されたのは江戸時代ですが、
発見場所が田んぼの中というあまりにも不自然な場所であったことなどにより、
当時からこの金印は偽物ではないかという疑いがあるのです。
魏志倭人伝の記述の証拠と言えるものはこの疑わしい金印だけで、
そもそも大乱や邪馬台国と卑弥呼の伝説が一つも無いなど、
未だに日本国内には魏志倭人伝の記述を裏付ける他の明確な証拠が出ていないのです。
このような状況を考えますと、
魏志倭人伝を疑うのが当然で、
まして教科書に史実として載せるのは問題があるのではないでしょうか。
現在の時点では、
魏志倭人伝に当時の日本の様子が書かれている。
ということだけは間違いなく史実ですが、
その内容まで史実と認定できるのは、
日本国内に内容に符合する明確な証拠が発見された場合に限られるはずです。
このように疑わしい魏志倭人伝を、
史実として古代日本の成り立ちを教科書に乗せているのは、
私は納得がいかないのですが、
皆さんはどう思われるでしょうか?
*私は古代の歴史の研究は、
文献より年代測定や遺伝子解析を重視すべきだと考えています。
なぜなら、
本文のように文献は支配者による改ざんの恐れがあるのに対して、
年代計測や遺伝子解析のような科学的手法は、
人による意図的な改ざんの恐れが少ないからです。
文献を重視した現在の歴史観は、
年代計測や遺伝子解析で考えますと、
おかしな点が少なからず見受けられます。
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