結局アベノミクスは成功だったのか失敗だったのか?
2025/03/28
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答えは半分成功半分失敗と言えます。
1.成功は失業率を大幅に下げたことです。
2.失敗は目標としていたデフレ脱却(インフレ率2%を達成)ができなかっただけでなく、
格差を拡大させたことです。
ではなぜこのようになったのか解説します。
まず1.の失業率改善の方から解説します。
安倍内閣は異次元の金融緩和を実施しました。
これによって市場に大量の貨幣が提供されました。
この結果企業の手持ち資金が増えて雇用を増やすことが出来た結果、
失業率の低下につながったのです。
これが金融緩和がもたらした成功の一面を意味しています。
では次が2.のデフレ脱却失敗と格差拡大の方です。
インフレへの誘導は貨幣を増やしただけでは実現しません。
物の値段は需要と供給で決まります。
需要が供給を上回って初めて物の値段は上昇するのです。
いくら貨幣を増やしても、
企業や個人が需要すなわち設備投資や物の購入を増やさなければ、
物の値段は上がらないのです。
いくら金融緩和で大量の資金が提供されても、
企業や個人が内部留保や預金に回せば、
市場にお金が回らないのでインフレは起きないことになります。
アベノミクスのもう一本の矢である財政出動は、
このような原因で失敗に終わったのです。
ではどうすれば良かったのでしょうか?
企業がお金を出さないのなら国がもっと公共投資を増やす。
個人には期限付きの買物券を利用して消費を誘導する。
期限付きですので個人はいやでも消費するはずです。
少し難しい話をしますと、
経済の基本的なチャートにフリップス曲線と言うのがあります。
これは、金融緩和をすると失業率が低下する一方でインフレ率は上昇する。
という関係を表したチャートですが、
金融緩和すると雇用が増えるのは前述の理屈ですが、
問題はインフレに向かうのか?という問題です。
私はこの関係は日本人には当てはまらないのではないかと考えています。
一般に欧米人は収入が増えれば支出を増やす傾向にありますので、
この関係が成立するのですが、
日本人は収入が増えると支出より貯蓄に回す傾向にありますので、
インフレに結びつきにくいことから、
このチャートに乗りにくいと考えられるのです。
いくら金融緩和しても財政出動が伴わなければ、
インフレ誘導は難しいということです。
これは以前からMMT論者が指摘していたことです。
ここが現在の経済学の常識に疑問符が付くところです。
デフレ脱却出来なかったのは、
アベノミクスの失敗と言うより節約志向の日本人の気質によるものだと考えられます。
*万全の経済対策などありません。
かならずメリットとデメリットがあります。
アベノミクスは雇用を増やしましたが格差を広げました。
格差拡大は株価の上昇によって、
株を持つ者と持たない者の差で生まれたのです。
私は個人的にはアベノミクスを評価しています。
世の中に失業者が蔓延する状態が最悪なのです。
アベノミクスが始まる前は失業者があふれ、
代々木公園で炊き出しが行われていた状態が連日テレビで放送されていました。
失業は生活を破壊して自殺者を増やすのです。
一方格差は不公平感が増すだけで生活を破壊するわけではありません。
従って格差の拡大のデメリットより雇用拡大のメリットの方がはるかに重要なのです。
私はその意味でアベノミクスは成功だったと思っているのです。
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