私はこれで救われた(私が手にした一冊の本の中のことば)
私は九州から神戸の大学に行きました。
当時、私は里帰りに小倉と神戸を結ぶ阪九フェリーを利用していました。
卒業の時、運悪く第一次オイルショックの時期に当たり、オイルのすさまじい高騰によって日本経済は非常に厳しい状況に見舞われたのです。
当然前代未聞の就職難。
私はことごとく就活に失敗し、断りの報告を受けるたびに全人格を否定されるように感じ、自信を失いアパートの一室で、
「もうだめだ限界だ、自分を雇ってくれる企業などあるとは思えない。九州に帰ろう。」
そう決心をしました。
次の日荷物をまとめてフェリー乗り場に向かったのです。
小雨の降り続いていた日でした。
しかし心の中では迷っていました。
帰ってどうなるというのか?
両親を心配させるだけではないのか?
私は途中の橋の上で立ち止まり、帰るべきか留まるべきかしばらく葛藤していました。
時間にして15分程だったと思います。
気持ちが少し落ち着いてきました。
「もう一日だけ考えてみよう。もし明日気持ちが変わらなければ帰ろう」
と決めたのです。
アパートに戻る途中で目についた小さな本屋に立ち寄った時、たまたま手に取った本が正にその後の私の人生に大きな影響を与えたのです。
そのなかにこのようなことが書いてありました。
尺八の名器となる竹は条件の良いひなたでは決して育たない。
日陰の条件の悪い所で育つのだ。
ひなたは条件が良すぎて竹がすくすく育ち、尺八の名器となる節の間隔の狭った竹には絶対にならない。
一方日陰の条件の悪い所ではほとんどの竹はまともに成長できない。
そんな悪い条件に打ち勝って育った竹だけが立派な尺八の名器となるのだ。
人間も同じである。
金持で恵まれた家庭からは立派でたくましい人間は生まれにくい。
貧乏に打ち勝ち、自分の力ではいあがった人間こそが名器になれるのだ。
私は衝撃を受けました。
このような考え方があったのだ。
条件が悪いというのは、名器が生まれるという意味からするとむしろ条件が良いということなのではないか。
その日から私は決して弱音は吐くまいと決心しました。
とにかくやるだけのことはやろう。
その結果がどうなっても決して後悔はしないことにしよう。
なんだか体の中からエネルギーが沸き起こってくる気がしました。
その後、自分の思った以上の仕事に就くことが出来、私の人生の出発点となった気がします。
皆さんの中にもこのような経験をされた方も多いと思います。
人生に挫折し、もがき苦しんでそれを克服された先人の言葉は感銘を受けることが多いですし、何よりこれから生きていく上でおおいなる指針を与えられることも多々あります。
壁にぶつかったとき図書館やネットでさがしてみてください。
きっとあなたを救ってくれる言葉に出会えるはずです。
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