不景気とグローバル化が格差を生む
企業のコストは原価と人件費が大きな比率を占めます。
利益を上げるには両方を如何に減らすかが企業の課題です。
人件費を抑えるには効率化を進めることと賃金を下げることですが、
完全雇用に近くなりますと給料を上げなければ人が集まりません。
経営者にとってはむしろ世の中が不景気で、
失業者が増えることの方が望ましいのです。
なぜなら低賃金でも人が集まるからです。
低賃金で人が集まれば人件費が下がり企業の儲けが大きくなります。
結果として経営者の収入は増えるのに対し、
労働者の賃金は減るのです。
すなわち不景気ほど貧富の格差が拡大するということです。
昔は不景気になれば企業が儲からなかったのですが、
現在はグローバル化が進んでいますので、
国内で売れなければ海外で売ればよいことです。
グローバル化も格差を広げる要因なのです。
ピケティ氏の21世紀の資本の中で、
資本収益率が経済成長率より大きいと格差が拡大するという式があります。
資本収益率とは経営者の所得、
経済成長率は国民所得を反映するものですから、
グローバル社会では国内の景気が悪いほど人件費が下がって資本収益率は上がるのに対し、
人件費すなわち労働者の賃金は下がって経済成長率が下がりますので、
正にこのことを言っているのです。
最近は国会でも格差是正が国の政策テーマになっています。
以上の理屈から格差の是正には景気を良くして、
如何に失業率を減らすかが最も効果的な解決方法です。
すべての業種で求人倍率が1を越え、
人手不足に陥って企業が求人に奔走する状態になれば、
自動的に賃金が上がって格差が解消できるのです。
しかし今後大きな問題が出てきます。
それは人工知能やロボット化が進行して人間に置き換わっていくと、
そこからはじき出された人達が失業者となって、
不景気ではなくても格差が広がる懸念があるからです。
格差は国民の不満につながりますので、
格差を生まないことは今後も国の最も大事なテーマになるでしょう。
しかし先進国を見れば分かるように、
資本主義は進行するほど格差は広がっていくのです。
私たちは今こそ根本的な格差是正の体制を構築すべきです。
その一つがベーシックインカムという制度でしょう。
これは政府が企業の利益を吸い上げ、
国民全員に最低限度の生活費を支給し、
もっと贅沢がしたければその分は働いてくださいというシステムです。
これによって少なくとも生活苦からの自殺者は無くせます。
現在のように生活保護の不正受給問題や、
生活保護を受けている人の方が収入が多くなるなどの、
社会の矛盾は無くすことができるのです。
賛否はあるでしょうが、
大富豪と大貧民の存在する現在より、
はるかに平等な社会であることは間違いありません。
今こそ真剣に議論すべき時代になってきていると思いますが、
皆さんはどう思われるでしょうか。
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